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踊りに生きる
花岡麻里名

2014ミス日本「海の日」

INTERVIEW05

INTERVIEW

花岡 麻里名(はなおか まりな)

2014ミス日本「海の日」。1990年1月14日生まれ。

ミス日本受賞時は神戸大学大学院生。その後舞台女優に。

劇団四季の『アラジン』をはじめ、
『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『1789〜バスティーユの恋人たち〜』
『メリーポピンズ』『ジョジョの奇妙な冒険』『マタ・ハリ』
『TOPHAT』『ハゥトゥサクシード』『ポーの一族』など多数の舞台に出演。

ダンス講師・ボディコンディショニング講師・振付師としても活躍。

舞台女優を目指したきっかけ

花岡さんが舞台女優を目指すようになったのはいつ頃からでしょうか?

小学生の時に、友達に誘われて始めたバトントワリングが原点といえるかもしれません。
関西で所属したチームが全国大会で優勝するような強いチームで、練習はほぼ毎日長時間、大変でしたがパレードや大会に参加したときに、観客がとても喜んでくれたのを見て、人前で表現することの楽しさを感じました。

その後、どのように学ばれていったのでしょうか?

高校では演劇科に進み、神戸女学院大学ではコンテンポラリーダンスを学びました。大学卒業時に劇団四季への切符を頂いたのですが、もっと色々な事を経験しながら舞台を目指そうと思い、神戸大学大学院に進みました。大学院では、高齢者の閉じこもり防止策を研究する為に老人ホームへ行き、ダンスや歌を活用したワークショップを行いました。

オーディションで勝ち取った、『アラジン』

有名な劇団四季の『アラジン』をはじめ、多数の舞台をご経験されていますが、舞台のお話をお聞かせください。

劇団四季の『アラジン』(東京:電通四季劇場[海])には、ミス日本の任期が終わった2015年、2016年、2017年と3年にわたりアンサンブルとして出演しました。オーディションは、今までの中でも高い倍率で女性の外部合格者は1人でした。劇団四季ではすべてが新鮮で、一つの作品を守る姿勢や情熱がものすごくて、みなさん朝から晩まで稽古に励んでいました。稽古は厳しく、ブロードウェイから演出家や振付師がきて2か月くらい稽古をした後、セットを組んだ舞台での稽古が続きました。普段は緊張しないタイプですが、『アラジン』は舞台上で魔法を手伝うシーンがあり、失敗したら台無しになるのでとても緊張しましたが、その後の舞台人生に繋げてくれた素敵な作品です。
2016年(80公演)と2018年(111公演)に出演した、『1789〜バスティーユの恋人たち〜』(東京:帝国劇場)では、フランス革命の時代に貧困にあえぐ民衆を演じました。毎回、出演の前に民衆役が集合して各自の辛かった出来事を話したり、自分はどんな気持ちでこの革命に加担するのかを話し、出演者で共有しました。すると舞台では、みんなの結束力が高まり、毎回新鮮な気持ちで演じることが出来た印象に残る作品です。

人を大切にする気持ちを忘れず、何が起きてもプラスに考える!

舞台人として、どのような事を心がけていらっしゃるのでしょうか?

舞台の世界は厳しい世界です。いつ、どんなオーディションがあるのかわかりません。歌やダンス、セリフだけでなく人間性も見られますので、自分を磨くことを常に意識しています。どの世界でもそうですが、人の中で生きているので、「この人と仕事がしたい」と思って貰えるよう、自分よがりにならないように気をつけています。作品創りは1人では出来ないということを念頭において、人を大切にする気持ちを忘れないように心がけています。

日々の過ごし方、生き方に反映されている事はありますでしょうか?

人との出会いは奇跡のようなもので、同じメンバーで舞台に立つことは2度はありません。今の出会い、今できることを大切にしています。また、何事も恐れないタイプなので、目の前にチャンスがあればどんな事でも挑戦してきました。失敗したら、これもいい経験だったと思い、何が起きても全てポジティブに考えるようにしています。このような考え方なので舞台の世界で頑張ってこられたと思います。

忙しくなり過ぎて、行き詰まるような事はありませんでしょうか?

若い頃はどんどん予定をいれて、スケジュールがぎっしりになり過ぎて倒れてしまい、周囲の人に怒られることもありました。でも、やらないで後悔するよりやって後悔するほうがいいので、とりあえず挑戦してきました。うまくいかないことがあっても、あの人に会えたから良かった、などプラスに考えるようにしています。今は予定が詰まっても優先順位を考えて調整しています。

ダンスで人とつながる貴重な経験が出来た、ミス日本の日々

ミス日本の活動で印象的なものを教えてください。

一番印象に印象残った活動は、カンボジアで行われたKepKepCleenキャンペーンです。これは、2011ミス日本ミス着物の新井寿枝さんが発起人となり、カンボジアで立ち上げた「スリーハーツ財団」の社会福祉活動のイベントです。ソロでダンスを踊る機会を頂くだけでなく、さらに現地の孤児の子ども達とダンスを創り上げて踊るという貴重な経験をしました。期間は3日間で最終日に式典でダンスをお披露目するのですが、言葉が伝わらない子ども達とどのように意思の疎通を図るのかが、難しかったです。そこで思いついたのが、子ども達の将来の夢をポーズにしてもらい、それを踊りにすることでした。最初はとまどっていた子ども達との距離がどんどん縮まって仲良くなり、心が繋がることで笑顔になっていきました。言葉が通じなくてもダンスで繋がることで、心の会話が出来た喜びを味わうことが出来ました。3日目の式典では、踊る子ども達も観客もすごく楽しんで下さり、この経験がベースとなり、難しい局面にあたっても、どう改善すれば良いのかを考えるようになりました。子ども達からもらったエネルギーが自分を強くしてくれたと思っています。イベントには3回も出演させて頂き感謝しています。

他にも印象的な活動はありますか?

海の関連団体でダンスを披露する機会が何度かあり、普段ダンスを見る事が無い方達に「見た事が無い踊りでした」と、声をかけて頂き交流を深めることが出来ました。ダンスで人と繋がる事が出来ると実感できた嬉しい体験でした。

ミス日本の活動で学んだ、責任と自信

ミス日本での活動が、その後の人生にどのように活かされましたでしょうか?

ミス日本の活動では、予定とは違うことが起きることが多く、状況に応じて臨機応変な対応をする力が身に付きました。また、ミス日本の歴史を背負ってタスキをかけているので、人の前に立って自分が発する言葉や行動に対して責任を持つということを学びました。若いうちにこのような経験をさせて頂いたので、どこに行ってもどのような方と会っても怖くないのは、本当に有り難いと思っています。立ち振る舞いを学ばせて頂いたので褒められることもあり、自分の見せ方が磨かれたと思っています。

勉強会で印象に残った事はありますでしょうか?

最終選考前の勉強会(*1)のコーチング研修では、「自信」とは自分を信じることで、人と比べることで持つ自信とは違う、という事を教えて頂き腑に落ちました。ミス日本コンテストでも、自分を信じられるくらい頑張ったので、落ちても悔いはないと思いました。オーディションに臨む時も自信が無いままだと落ちることがあり、自分でやりきった感があるときは勝ち取ることができます。舞台を続けるうえでも生活をするうえでも、ミス日本の活動で得た自信が今の自分に繋がっています。

*1 勉強会
ファイナリストが受講できる数カ月間の特別プログラム。
ミス日本が重視する3つの美(内面の美、外見の美、行動の美)を伸ばす。
日本舞踊や茶道、華道といった伝統文化を経験するものや、日本画や浮世絵、現代アートについて習うもの、ウォーキングやスピーチの技術を身につけるものまで多岐にわたり、それぞれの分野のトップランナーが講師を担う。

ダンス以外でも幅広く活躍!

ミス日本の任期満了後は、どのような活動をされていたのでしょうか?

任期を終了した2015年から10年はずっとミュージカルやコンサートなど、舞台の仕事に出演させて頂きました。ピラティスの資格や、筋膜リリースのマスタートレーナーの資格を活かして、アスリートの方や芸能人の方をはじめ老若男女の身体を整えるボディコンディショニングもしています。2024年4月にミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』(東京/札幌/兵庫)にアンサンブルとして出演後、妊娠がわかったのでいまは舞台出演を控えています。(インタビュー時は妊娠8か月)フィギュアスケートの演技指導や振付、ガンバ大阪のチアダンスチームの振付(2023)、ミュージカルでプロを目指している人のダンスの監修など幅広く活動しています。

若い人には、今しか出来ないことをやってほしい

神戸女学院大学と福知山成美高等学校、各教育機関でダンスを教えていらっしゃいますが、生徒たちにどのような事を伝えたいですか?

自分が何をしたいかわからないという、夢がない生徒が多いように感じます。今から見つけていけばいいとは思いますが、大人になったら出来なくなることもたくさんあるので、「今しか出来ないことをやってほしい」と生徒にいつも言っています。自分の範疇を決めないで、違う分野の勉強をしたり、違う環境の人に会ったりして、視野を広げていろんな出会いをして欲しいです。その出会いが自分の道を開くきっかけになったりすることを教えていきたいです。

芸術文化を促進して、子ども達の選択肢を広げたい

今後、どのような目標をお持ちでしょうか?

2023年と2024年に京都府福知山市でミュージカルに関するワークショップを開催しました。3日間ミュージカルの練習をして、3日目に福知山市夜久野町で開催される「やくの高原まつり」のステージで発表しました。最初はぎこちなかった子ども達の表情がどんどん笑顔に変化していくのを見るのが嬉しく、最後はみんなで別れを惜しみました。子ども達に、ダンスや歌で表現することの楽しさや、みんなで助け合って補い合って頑張ることで得られるものを伝えていければいいな、と考えています。踊ったり歌ったりして表現するミュージカルは、コミュニケーション能力を高めることが出来るので教育的な面でも役に立つと思っています。
子どもが産まれたら、ママさん達や小学校などのコミュニティに接するので、その環境で何が出来るかを考えて、芸術文化の促進に力を注ぎ、子ども達の選択肢を広げていく活動をしていきたいです。

【インタビュアーから一言】
2024ミス日本「海の日」有馬佳奈
最後までお読みいただき、ありがとうございました。花岡さんの第一印象は「バイタリティに溢れた明るい方!」でした。インタビュー中、劇団四季での日々の忙しさ、そしてその環境と真摯に向き合いながら、どれだけの努力を重ねてきたかをお伺いし、花岡さんの圧倒的な努力量に心を打たれました。同時に、私自身の努力がまだ足りていないことに気付かされ、衝撃を受けました。目の前にいる花岡さんは、まさに「努力の人」。最初は魅力的な方という印象でしたがインタビューを終え、その魅力の裏にある努力する姿を目の当たりにしました。花岡さんへの憧れは、「花岡さんのように目標に全力で向き合いたい」という尊敬へと変わりました。努力に裏付けされた、人を惹きつけてやまない花岡さんの存在感、まさに唯一無二だと感じます。そんな花岡さんの今後のご活躍を、心から応援しております!


2014ミス日本「海の日」